インプラントの費用はなぜ違うのか?│
【第2回】「誰が、どう診るか」で変わる診療体制の違い

インプラント治療を検討される際、費用や使われている材料に目が行きがちですが、実は「誰が、どのような体制で治療を行うか」という点も、将来的なお口の健康に大きな影響を与える要素の一つと考えられます。
今回は、インプラント治療における診療体制の違いと、専門的な技術を見極めるための一つの目安についてお話しいたします。
「誰が、どう診るか」で変わる診療体制の違い

インプラント治療を行うクリニックには、大きく分けて「分業制」と「一貫担当制」という異なる診療スタイルが存在します。
まず、分業体制を採用している医院の傾向について触れてみましょう。近年、効率化や多くの患者さんを受け入れることを目的として、治療の工程を複数の歯科医師で分担するスタイルが増えてきているようです。
例えば、事前の抜歯や根管治療、歯周病の処置、最終的な被せ物の調整などは若手の勤務医が担当し、インプラントを顎の骨に埋め込む外科手術の工程のみを、院長などの熟練した医師が担当するといった形です。この体制は、医院全体でスピーディーに治療を進められるという側面がある一方で、工程ごとに担当医が変わるため、情報の引き継ぎの際に患者さんのご要望や微妙なニュアンスが伝わりきらなかったり、認識のズレが生じてしまう場合があります。
インプラント治療は単に「人工の歯の根を埋める」だけではなく、お口全体の噛み合わせや歯周環境のバランスを整えることが非常に重要です。そのため、治療が分断されることで、包括的な治療計画の進行に影響が出る可能性も考えられます。
一方で、「一貫担当制」という診療スタイルがあります。これは、初診時の精密な検査・診断から、事前のむし歯や歯周病の治療、インプラントの外科手術、そして最後のミクロン単位の噛み合わせの調整に至るまで、一人の医師が責任を持って担当する体制です。
当院では、この一貫担当制を採用しており、インプラントにかかわるすべての工程を院長自身が担当しております。一人の医師がお口全体の状況を隅々まで把握することで、「なぜその歯を失うことになったのか」という根本的な原因に向き合うことができると考えています。
当院が大切にしている「いつまでも自分の歯でしっかりと噛めるように」「健康寿命を延ばすこと」という理念を実現するためには、患者さんの将来のライフステージまでを見据えた一貫性のある治療が欠かせません。少しお時間をいただくこともあるかもしれませんが、この体制が長期的な安定につながりやすいと考えております。
高度な専門性を知るための一つの目安「専門医」とは

インプラント治療を受けるにあたり、医師の技術力や知識を測るための一つの指標となるのが、学会が認定する「専門医」や「指導医」といった資格制度です。これらは、一定の治療実績や厳しい審査基準をクリアした一部の歯科医師にのみ与えられる資格であり、より高度な専門知識を持っていることの証明とも言えます。
とくにインプラントを長期にわたって健康な状態で維持するためには、土台となる歯ぐきや骨の状態が非常に重要です。せっかくインプラントを入れても、歯周病菌による「インプラント周囲炎」を引き起こしてしまうと、最悪の場合は抜け落ちてしまうこともあります。そのため、「日本口腔インプラント学会の専門医」であることに加え、「日本歯周病学会の専門医・指導医」の資格を併せ持つ医師であれば、外科手術の技術はもちろんのこと、事前の歯周病治療や術後の感染予防の両面において、より手厚いケアが期待できると考えられます。

実は、日本全国の歯科医師のなかでも、これら両方の専門資格を併せ持つ医師は非常に希少な存在と言われています。当院の院長はインプラントと歯周病の両方の高度な専門資格を有しており、宇都宮市で30年以上にわたり、地域の皆さまの診療にあたってまいりました。また、当院には日本歯周病学会認定の歯科衛生士も在籍しており、専門のチーム体制で再発防止のためのメインテナンスを行っております。
さらに近年では、医師の経験や技術をサポートするために、CTや3Dスキャナーといった「デジタル技術」を活用する医院も増えています。事前にコンピューター上で骨の状態を立体的に把握し、精密なシミュレーションを行うことで、より予測性が高く、安全に配慮した治療を提供できるようになっていることも、医院選びのひとつの目安になるかもしれません。
ご自身の将来を見据えた、納得のいく医院選びを

インプラント治療は、一般的な歯科治療と比べて初期の費用や治療期間がかかる傾向にあります。しかし、適切な技術と診療体制のもとで計画的に行われれば、日々の食事を楽しみ、健康的な生活を送るための、人生の質を高める価値のある治療法となり得るものです。
医院を検討される際は、費用の安さやアクセスの良さだけでなく、「最初から最後まで一人の医師が一貫して診てくれるか」「専門的な知識や資格、デジタルの設備を有しているか」といった視点も併せてお考えいただくことをお勧めいたします。ご自身の5年後、10年後を見据え、安心して長くお付き合いできる納得のいく医院選びの参考にしていただければ幸いです。